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目次 ■地上デジタル放送エリアの拡大と薄型・大画面テレビの普及 ■ハイビジョン放送の本格化 ■放送もサラウンドサウンドで楽しむ時代へ ■ハイビジョンを録画して、そのままの画質で残せるレコーダー ■サラウンドサウンドの新しい試み ■最新ホームシアター用プロジェクター機器の進化 ■パソコンや携帯オーディオプレーヤーでの、音楽の楽しみ方の新提案 ■車載用A&Vシステムの進化 ■スピーカー・システムの新しい提案 ■ピュア・オーディオへの熱意は冷めやらず ■真空管アンプは、若い世代には斬新に、往年のオーディオファンには懐かしさを ■手作りオーディオの楽しみを提案するファンステージ ■ハード機器の進化とソフトの重要性 ■もっともっと未来が楽しみになる、音と映像の世界 |
■地上デジタル放送エリアの拡大と薄型・大画面テレビの普及 昨年末、地上デジタル放送受信地域が一挙に拡大したことを受けて、大半の地域が受信可能なエリアに入ってきました。さらに、2006年12月までには、約3,850万世帯(約82%)まで拡大していく予定です。これに伴って、テレビの買い替え時には、2011年のアナログ放送終了に備えて、地上デジタル放送対応の製品にする方が増えてきているようです。地上デジタル放送対応のテレビと言えば、やはり薄型大画面テレビの魅力は大きいもの。今年のA&Vフェスタ2006では、ついにパナソニックの103v型の薄型・大画面テレビを見ることができました、技術の進歩には、ただ驚くばかりです。
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■ハイビジョン放送の本格化 昨年あたりから薄型・大画面テレビでは、「フルHD」「フルスペックハイビジョン」「フルハイビジョン」「有効走査線数が1080本(1920_1080ドット)」などの言葉が使われています。これって一体何のことでしょう?みなさんはお分かりになりますか?薄型・大画面テレビが登場したばかりの頃には、ハイビジョン対応のテレビでも、ハイビジョンの美しい映像を100%再現しきれませんでした。映像を映し出す素子をさらに小型化する必要があったのです。これが昨年より液晶テレビ、プラズマテレビともに100%再現できるテレビが登場し、これらのテレビが上記の言葉で表現されています。今年は、どこのブースでもハイビジョンがそのままの美しさで映し出され、ハイビジョン映像がさらに身近になっていくことが感じられました。
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■放送もサラウンドサウンドで楽しむ時代へ 地上デジタル放送は、ハイビジョン放送の美しい映像が話題になることが多いですが、実は音声も高品質に楽しめます。5.1chのサラウンドサウンド放送も可能で、現在さまざまな番組がサラウンドサウンドで放送され始めてきています。今年は、従来あまりクローズアップされなかった、このデジタル放送の音声の魅力にも焦点があてられました。22日に行われた主催者セミナー『デジタル放送で楽しむサラウンド音響(深田晃/井上哲/沢口真生)』では、放送の制作の現場からプロのスタッフによる講演があり、映画だけでなく、スポーツやドキュメンタリー番組など、すでにサラウンドサウンドで放送されている番組の例をいくつか見ることができました。大画面で美しい映像を見ながら、サラウンドサウンドで迫力ある音声を楽しむということが、あと数年で当たり前になって来るのかもしれません。
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■ハイビジョンを録画して、そのままの画質で残せるレコーダー 美しいハイビジョン映像は、そのまま録画して、何度でもゆっくり見てみたいという方も多いはずです。昨年までは、ハードディスクにそのまま本来の画質で録画できる製品が各社から出展されていました。しかし、それをDVDにコピーして残すには、容量の問題から画質を従来のテレビの画質に落とす必要がありました。このことを改善するため、容量の大きな「ブルーレイディスク(Blu-Ray Disc)」を使ったレコーダーが、A&Vフェスタ2006で初公開となりました。ブルーレイディスクは、DVDの5倍以上の容量を持ち、レコーダーのハードディスクから録り溜めたハイビジョン映像をコピーして残せるほか(*)、ディスクに直接録画することもできます。 A&Vフェスタ2006では、松下電器産業のブースで9月20日に発表されたばかりのブルーレイディスクレコーダー2機種が出品され、話題となりました。また、各セミナーの視聴でもブルーレイディスクレコーダーが使われ、高品位なハイビジョン映像による視聴会が行われました。さらに、9月23日に行われた主催者セミナーでは、貝山知弘氏による『映像・音声の華』で、ブルーレイディスクレコーダーと肩を並べる次世代の大容量ディスク「HD DVD」プレーヤーとの興味深い視聴も行われました。 (*)ただし、著作権保護のための制限があります。
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■サラウンドサウンドの新しい試み 5.1chサラウンドサウンドから、さらに進化して、次世代の映像ディスク「ブルーレイディスク」や「HD DVD」に採用される臨場感と迫力に満ちたマルチチャンネル・サラウンド。これらの最新サラウンド音声もA&Vフェスタ2006では大きな注目を浴びたもののひとつです。 ●22.2マルチチャンネル音響〜三次元立体音響への進化を聴く〜 A&Vフェスタ2006で話題をさらったのが、NHK放送技術研究所によるスペシャルセミナー『22.2マルチチャンネル音響〜三次元立体音響への進化を聴く〜』でした。昨年は、24本のスピーカーを使って立体音響のイベントを試みましたが、今年はさらに進化させ、2本のサブウーファーを加えて、横並びだったスピーカーを上下配列にし、縦方向の立体感を高めたセッティングになりました。音が躍動する驚きは、まさに未知の体験でした。
ドルビーラボラトリーズでは、最新サラウンド技術の「ドルビーTrueHD」「ドルビーデジタルプラス」の技術解説とデモンストレーションを実施しました。ブルーレイディスクとHD DVDのプレーヤーが用意され、高品位な映像とともに、迫力の次世代サラウンド音声を楽しむことができました。「ドルビーTrueHD」は、話題のゲーム機「プレイステーション3」でも採用された音声で、音声の圧縮・伸張を行ってもまったくロスのない、高音質を楽しめるサラウンド技術として注目を集めています。
dtsジャパンの視聴室は、初日から長蛇の列を作って大変人気の高いブースでした。DTSデジタル・サラウンドは、DVDの音声として音質の高いサラウンドとして知られてきましたが、「DTS-HD」は次世代ディスクのブルーレイディスクとHD DVDの両方にオプションとして採用されています。プロのスタジオで作られるマスター音源をデータの損失なしにリスナーまで届ける技術として注目を集めています。
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■最新ホームシアター用プロジェクター機器の進化 A&Vフェスタでは、ホームシアター用の最新機種に興味を持って来場されるお客様も多いと思います。今年は各社、ハイビジョン・プロジェクターに焦点を当てていたようです。 ●日本ビクター「DLA-HD」(参考出品) 日本ビクターでは、高コントラストを誇るフルハイビジョンプロジェクター「DLA-HD」と、同社の従来機との比較投射を視聴室で実施しました。従来のものでも十分美しい映像でしたが、「DLA-HD」では、さらに鮮やかで鮮明な映像を楽しむことができました。
松下電器産業では、10月と11月に発売となるプロジェクターを出品。明るいリビングでスポーツやゲームプレイにテレビを見る感覚で使える「TH-AX100」と、11000:1というハイコントラストを実現したフルハイビジョン液晶プロジェクター「TH-AE1000」の2機種です。実際にハリウッドに機器を持ち込んで、映画の監督に画質をチェックしてもらっているという「ハリウッド画質」のプロジェクターです。
ソニーのブースでは、10月20日に発売予定の高画質ビデオプロジェクター「VPL-VW50」を出品。解像度・コントラスト・応答速度に優れるソニー独自の反射型液晶ディスプレイフルHDパネルSXRDを搭載し、最大15000:1の高コントラストを実現したビデオプロジェクターです。
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■パソコンや携帯オーディオプレーヤーでの、音楽の楽しみ方の新提案 配信音楽をインターネットからダウンロードしたり、CDから取り込んでパソコンや携帯オーディオプレーヤーで楽しむといったリスニングスタイルが世代を超えて定着しつつあります。しかし、パソコンに付属しているスピーカーの音では、音楽を聴くのに満足できるものは少ないもの。また、携帯用オーディオプレーヤーでは、家の中でもヘッドフォンで聴かなくてはならず、こうしたことに不満を持っていた方々も多いのではないでしょうか?今年は、そんな不満を解決する多くの商品提案がありました。 マイクロソフトのブースでは、各社から発売されているパソコンでオーディオを高品位に楽しむソフトウエアやスピーカーなどのオーディオ機器が見られました。また、松下電器産業や日本ビクターのブースでは、携帯オーディオプレーヤーを家に持ち帰ったとき、家のコンポと接続してスピーカーから音楽が楽しめる機器が見られました。
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■車載用A&Vシステムの進化 車載用のA&Vシステムは、家庭用オーディオ機器や携帯オーディオプレーヤーとの連携、ナビゲーションシステムとの一体化などによって進化しています。日本ビクターでは、USB接続の携帯メモリーのスロットを持ち、パソコンからメモリー経由で音楽データを持ち出して楽しめるカーオーディオシステムを提案。アルパインでは、アップルコンピュータ社のiPodを接続して、多彩な楽曲を車の中で楽しめるシステムを提案。1万曲以上を収録して持ち歩ける携帯オーディオプレーヤーは、CDチェンジャーを超える車載プレーヤーとしても、大きな人気を集めているようです。 パイオニアのカーA&Vブランド「カロッツェリア」では、カーナビゲーションと一体化したエンターテインメントナビゲーションシステムを提案。美しい大型液晶が車のナビゲーションとA&Vコンテンツの映像表示の両方の役割をこなしていました。 日本ビクターから提案されているオートバイ用のオーディオシステムも、斬新でユニークな提案です。音はライダーに向かって放出され、それ以外の周囲には騒音とならない工夫や、スピードを上げた時に聴こえにくくなるのを避けるため、スピードに応じてボリュームがコントロールされる機構など、さまざまなアイディアが盛り込まれています。
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■スピーカー・システムの新しい提案 今年も新しい魅力的なスピーカー・システムが各メーカーから出品されました。その中から大きな話題となった製品をここで振り返ってみたいと思います。 スピーカーの理想であると言われる「呼吸球式」のスピーカーとして、ビクターの12面体球状スピーカーが話題を呼びました。「スピーカーの存在が感じられないほど自然」と言われたその音場再現力を聴くために、ビクターの試聴室は常時満員の盛況でした。また、同じ「呼吸球式」のスピーカーとして、ドイツのハイエンド・オーディオブランド「mbl」からは、提灯の形状をした振動版が膨らんだり、しぼんだりして音を発生する美しいデザインの高級スピーカーが出品されていました。これらの「呼吸球式」スピーカーは、無指向性と呼ばれる、音が一方向ではなく、360°全方向に放射されるもので、自然な音場再生を可能にすると言われています。
楽器は木でできているものが多い、ということに着目して「スピーカーの振動板を木で作ったら音楽的な響きがするのでは?」と発想してできたという「ウッドコーン・スピーカー」。ビクターの開発によるこのスピーカーは、楽器やボーカリストなどの原音に迫る自然な再生音を実現したスピーカーとして注目を浴びています。木がどうしても割れてしまうので、お酒につけることで解決した、というエピソードも話題になりました。
パイオニアでは、開発中のハイエンドスピーカー「TAD Reference1」が試聴できました。これは、2003年に発売した「TAD-M1」の後継機となるモデルで、「正確な音の定位と豊かな音場を目指した」スピーカー。発売予定は、来年の春とのことでした。
ヤマハは、楽器メーカーとしても有名ですが、その楽器製作におけるノウハウをスピーカー作りに活かしたというSoavo(ソアヴォ)が、今年のヤマハの自信作です。「素材の響きを活かして、厳密にコントロールする」ことが、楽器製作とスピーカー製作における共通点だそうです。A&Vフェスタでは、このSoavoの音が大変な注目を集め、試聴ルームは大変混雑していました。
三菱電機のオーディオブランド「ダイヤトーン」の新しいスピーカー、「DS-MA1」も注目を集めた製品の一つです。12月22日から発売されると言う受注生産の製品で、一台一台手作業で入念に組み上げられるスピーカーだそうです。最新の技術や素材をふんだんに投入して「従来にない広帯域再生を可能にしたピュアボロンを中・高音ユニットに使い」「緻密でエネルギー感のある音を求め」「反応の素早い低域再生を実現」した点が強調されていました。ボディは、ピアノの響板やギターのトップ板に使われるスプルースを適所に使って響きの美しさを追求したそうです。
音の発生源であるボイスコイルを振動板に使用したスピーカーを提案したボイスコイル・ダイヤフラムスピーカーラボは、大変斬新な発想が好評でした。これは、ボイスコイルから直接放出されている音をそのまま聴くことができるという画期的なもので、スピーカーの常識を変えるといわれるこの技術に注目が集まっていました。
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■ピュア・オーディオへの熱意は冷めやらず サラウンドサウンドの新技術や新製品が数多く展開される一方、2chピュア・オーディオの世界もますます熱気を帯びています。今年は、アドバンスド・ステージに多くのピュア・オーディオ機器メーカーが出展し、開発者・設計者と来場者との熱い会話が繰り広げられていました。 世界で評価されるアンプ作りを目指すブリッジ・オーディオラボの大橋さん、性能の高いデジタルアンプを安価で実現したいと熱意を持つサウンドデザインの石田さんなど、メーカー名やブランド名を超えて、ここには作り手の顔が見える製品が数多く見られました。ピュア・オーディオの世界は今後も深く広く広がり、その楽しみを広げていくことでしょう。
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■真空管アンプは、若い世代には斬新に、往年のオーディオファンには懐かしさを アドバンスド・ステージでは、今年は真空管アンプの出品が多く、目を引きました。イタリア製の高品位なアンプを紹介したウエックファイブ、音楽ファンのために、音楽や演奏者の表情を再現するアンプつくりを目指す美音技研、デザイン性と音質に優れた趣味性の高い管球式アンプを紹介するトライオード、OTLアンプにこだわったSDサウンド、真空管とトランジスタのハイブリッドアンプを提案するカインラボラトリージャパンなど、いずれも個性的な真空管アンプを各所でみることができました。テクソルのブースでは、世界の真空管の数々が紹介され、往年のオーディオファンが懐かしく興味を持って立ち寄ることはもちろん、若い世代の人々には新鮮な驚きをもって迎えられていたのが印象的でした。
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■手作りオーディオの楽しみを提案するファンステージ A&Vフェスタ2006では、オーディオを作る楽しみを提案する「ファンステージ」で今年も家族で参加できる人気の工作教室を実施しました。「スピーカー工作教室」と「レコード盤録再蓄音機工作教室」は、いずれも多くの参加希望の方にお集まりいただき、抽選にもれてしまった方は誠に残念でした。お子様連れでご参加いただいたご家族が、スピーカーや蓄音機の構造を学びながら楽しそうに手を取り合って作り上げていく様子は、本当に微笑ましいものでした。
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■ハード機器の進化とソフトの重要性 今年はソフトメーカーのワーナーエンターテイメント ジャパンが参加し、DVDの新作「スーパーナチュラル」の試聴会や、同作を紹介するブースも盛り上がりを見せていました。A&Vフェスタ2006では、ハイビジョンテレビやハイビジョン・プロジェクター、高品位なサラウンドサウンド技術など、映画をより楽しく味わえるさまざまなハード機器の提案を見ることができました。しかし、24日に映画パーソナリティ襟川クロさんが行ったセミナー「ホームシアターを10倍楽しむ10の名作」で語られていたように、優れたソフトあってのハード機器です。その性能を活かし、ますます映像の楽しみを広げてくれる映画やテレビ番組などのコンテンツにも期待が高まっています。襟川クロさんの講演では、「Vフォー・ヴェンデッタ」や「Always三丁目の夕日」など、CGの使い方や演出について、さまざまな視点から最新の映画コンテンツの楽しさが紹介され、興味深いお話でした。
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■もっともっと未来が楽しみになる、音と映像の世界 5年後の2011年には、放送のすべてがデジタル化され、その頃にはハイビジョンやサラウンド放送が当たり前の世界になっていることでしょう。「A&Vフェスタ2006」で見たオーディオとビジュアルの世界は、もうすぐみなさんの家庭にやってくる現実と言えるかもしれません。遠く離れた国の文化遺産や芸術作品を高精細な映像で楽しめるハイビジョン映像。世界のさまざまな劇場で演奏された音楽の臨場感をリアルに伝えるサラウンドサウンド。放送技術の進化によって、そんな体験を多くの人々が共有できるようになることでしょう。 一方、そんな音と映像の進化は、過去のものに取って代わっていくわけではなく、良いものは残り続け、情熱的な技術者たちの手でさらに進化していくことも、このフェスタで知ることができました。アナログ技術や真空管アンプ、手作りオーディオなど、ピュア・オーディオの世界に捧げられた熱意と、斬新で新しいアイディアを注いだ製品の数々に、私たちは新しい感銘を受けることができました。そんな情熱の後押しもあり、音と映像の世界は、いまさらに広く、深く、その魅力を増してきているようです。もっともっと未来が楽しみになる。そんな「A&Vフェスタ2006」でした。 |
ご来場、誠にありがとうございました。 来年度の開催についてのご案内は、 決定次第このホームページで発表いたします。 |